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2025年2月18日更新
黒田チカ賞選考委員会委員長
お茶の水女子大学 理学部長 横川 光司
第10回黒田チカ賞選考委員会は慎重に審議を行った結果、下記の者を黒田チカ賞候補者として本学学長に推薦し了承を得ました。
「黒田チカ賞」設立趣旨についてはこちらをご覧下さい
田上 湖都 氏
(お茶の水女子大学大学院博士後期課程理学専攻2年)
田上氏は学部4年次より可視光によるフルオロアルキル化反応の開発に関する研究を精力的に行っています。多くの学生の中でも群を抜いて優秀であり、非常に意欲的に研究を推進しています。田上氏は、これまでにこの能力を生かして数多くの成果を挙げており、査読付き原著論文4報を筆頭著者として、3報を共著者として発表しています。これらは一貫して可視光反応を用いたメタルフリーフルオロアルキル化反応の開発に関する研究成果であり、医薬品?機能性材料として我々の生活に欠かせない含フッ素化合物を環境適応型の反応で合成することを可能としています。中でも、J. Fluoro. Chem. (2024)に掲載された研究では、他機関の研究者と連携して、機械学習を利用した反応最適化を達成しています。これは長時間の実験が必用であった有機合成分野に新しい展開をもたらす先進的な取り組みといえます。さらに、田上氏は自身の研究分野に近い電子不足オレフィンへの可視光フルオロアルキル化に関する論文をまとめた総説も執筆しており、研究領域の知識を広く共有することに寄与しています。
以上のことから、本選考委員会は田上氏の顕著な業績は黒田チカ賞を授賞するに大変相応しいと判断しました。