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全学教育システム改革推進本部

目標は「わかりやすい」授業を越えること

赤松 利恵(人間文化創成科学研究科研究院 基幹部門 自然・応用科学系 講師)

 私は、生活科学部食物栄養学科で、栄養カウンセリング論を含む、栄養教育に関する科目を担当しています。本学科は管理栄養士養成施設の認定を受けているため、カリキュラム内容が決められているなどの特徴があり、エッセイとしてお伝えする意味があるのか正直なところ自信がありません。しかし、私自身、自分の授業を振り返る良い機会と考え、授業で取り組んでいること、心がけていることを書かせていただきます。

1.顔と名前を覚える
 あまり得意ではないので、学生の顔と名前を覚えることに努めています。その方法として取り入れているのが、座席指定です。くじびきや誕生日順(もちろん月日だけで)など、ゲーム性を取り入れながら、席を決めます。座席表と学生の顔を照らし合わせながら、がんばって顔と名前を覚えています。

2.授業の見通しをもたせる
 この先どこへ行くのかわからないと、誰でも不安になると思います。授業においても、どうしてこの科目を勉強するのか、何を勉強するのか最初に知っておくことは大切だと思っています。栄養教育に関する科目は、2年生から始まり2年間通して教育するので、2年生の最初の授業では、科目全体の中での位置づけと2年間での学習目標を説明します。また、半期ごとのそれぞれの科目の最初の授業では、シラバスを配布し、科目の学習目標と各回の授業内容を説明します。

3.経験談などを織り交ぜる
 先の通り、私の授業は系統性を重視し計画的に進めるよう努めていますが、授業では、予定にはない話、いわゆる余談をよくします。私が管理栄養士として勤めていた経験や現在働いている友人の話など、テキストにない話は、学生の息抜きになっているようです。

4.板書ですすめる
 人数が多い共通科目では、後ろ人にも見やすいよう、パワーポイントを使いますが、専門科目では、板書で授業を行っています。それは、自分のノートを作って欲しいという思いがあるからです(これまでの経験で、パワーポイントにするとスライド資料が欲しい、スライドが早すぎるなどの意見が多かった)。ノートをとる時間をとりながら、授業を進めるようにしています。また、テキストの大事な箇所に線を引く作業も、その場で行なうよう、時間をとります。

5.フィードバックをする
 途中で行なう小テストは、テスト終了後すぐに、テキストやノートを使って自己採点させ、どこができなかったのか、自覚させます。また、その小テストは回収し、学生がよく間違えたところについて、授業の中で再度とりあげ解説します。学期末テストについても、テスト返却と振り返りの時間をとっています。レポートの場合も、一人ひとりに、コメントを書き(一言になってしまいますが)、授業では全体の感想を話すようにしています。

終わりに
 栄養教育に関する科目を教える難しさは、「わかった」が到達目標でないところです。たとえば、管理栄養士の態度や倫理に関する内容は、頭でわかっていても実践できないと意味がありません。課題や演習を通した体験学習で、実践力の習得を目指していますが、まだまだ工夫の余地があると思っています。「わかりやすい」授業を越えることを目標に、これからも授業に取り組んで行きたいと思っています。

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