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全学教育システム改革推進本部

NPOインターンシップに関わって

三輪 建二(人間文化創成科学研究科研究院 基幹部門 人間科学系 教授)

 NPOインターンシップは、コアクラスター「コミュニティ・ボランティアコース」の中に位置づけられており、主として夏休みの期間に100時間前後、自ら選択したNPOでのインターンシップを体験するという科目である。学生のレポートをまとめた「NPOインターンシップ報告書」(2006年度版)から、学生がインターンシップの何に共鳴しているのかを、いくつか取り上げてみたい。

 ホームレスを支援するNPOでインターンシップしたある学生は、これまで、「ホームレスの人は怖いと思って」積極的に関わろうとしていなかったが、「活動そのものを通して自分の視野が広がった」「自分の思い込みに気づかされました」と述べている。インターンシップは、多くの学生にとっては生身の社会的現実に(おそらく初めて)対面するという体験になっている。そこには様々なとまどいと混乱があるものの、NPOの人びとの丁寧なフォローのおかげで、視野の広まりと責任をもった自主的な活動への一歩につながっているのではないだろうか。
 子ども達の課外活動を支援するNPOでインターンシップしたある学生は、NPOのスタッフが、「年齢も職業も関係なく、それぞれが得意な分野で活動し、スタッフみんなで助け合いながら事業を進めていた」ことにとても感動していた。同じ年齢層、似たような関心をもつ大学生同士の集まりや活動ではなく、異年齢・異業種の人々がNPOのモットーに共感して集まって活動している様子を見ることが、「大学生活では出会えないような人に出会えた」という喜びにつながっている。
 やはり子どもの創造活動に関わるNPOでインターンシップをしたある学生は、「活動に参加するだけが仕事ではありませんでした。団体を持続し、広めていく活動も力を入れていかなければなりません」と述べている。NPOはメッセージ性が見えやすいので、活動への参加だけでも新鮮な体験であったかもしれない。しかし、表面からはなかなか見えないNPOの地道な活動を体験する中で、持続に向けての着実な歩みと努力が必要であることが分かるようになったということを述べているのである。

 3人の事例からは、視野の拡大、異年齢・異業種の人びとの熱意と共感、地道な活動への関わりといったことが、最初はとまどいや混乱から入りつつも、自分たちの責任をもった自主的な活動へとつながっていったことが見えるように思う。
 私たち教員は、良いNPOを見つけること、NPOとの関係を良好に保つことといった、いわば環境整備をするだけであったと言える。自分たちが直接実施する教育活動ではなく、NPOという他者に依頼した教育が、学生から高い評価を得ているという事実を通して、本来の大学の授業そのものを捉えなおす必要性があると考える。

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