第26回
伊藤亜矢子(人間文化創成科学研究科研究院基幹部門 人間科学系 准教授)
授業は難しい! というのが日々の実感です。ですからFDエッセイ登場は大変恐縮です。
何が難しいかというと、難しい点ばかりです。
「学校臨床学」の場合、ひとつは、自分の専門分野なので、伝えたいことが多すぎて、話が難しくなったり、情報量が多くなったりして、どうしても失敗が多いのです。
そこで【試行錯誤1】・・・情報が伝わりやすいように、教科書をつくりました。
教科書があると、半期の授業全体の構成を具体的に示すことができ、大事なポイントを(授業中もふくめて)読み返せるので、授業の流れとまとまりをつくりやすくなりました。
それから【試行錯誤2】・・・板書が苦手なので、パワーポイント中心にしてみました。
ポイントは教科書にまとめたので、パワーポイントを書き写す必要はほとんどありません。説明を聞きながら、視覚情報で話のポイント(教科書のポイント)を補えるように、教科書の図表やポイント、追加の写真・DVDなどの映像資料を提示しています。おおむね好評でしたが、学生から「パワーポイントの切り替えが早い」という指摘もありました。引き続き試行錯誤中です。パワーポイントと手書きを組み合わせたいことも多いので、今度「電子ペン」を試そうかと考えています。(詳しい方、お使いの方、ぜひ情報あれば……)。
さらに難しいのは、専門外の学生と専門の学生の双方のニーズをどう満たすかです。
「学校臨床学」は、専門科目と学部共通科目を兼ねており、教職科目振り替えも可能なので、多様な学年・学部の学生が受講する可能性があります。年度によって違い、2007〜08年は比較的専門の学生が多かったと思います(授業評価もこれに助けられたと思います)。
専門外の学生が多いと、専門の学生なら基礎知識としてすでに他の授業で何度も習っていることを、用語説明から行うので、復習になって良い反面、なかなか本題に入れず申し訳なく感じることもあります。また専門が違うと共通の理解基盤がなく、別の学問世界に暮らしている異文化の人同士のようで、理解が進まない時もあります。うまくすると新たな気づきにつながるのですが、試行錯誤です。ユニヴァーサルデザインではないですが、誰にもわかりよい説明をめざして努力中です。
そこで【試行錯誤3】・・・今はとりあえず、学生の反応を知る機会をなるべく多くしています。毎回のリアクションペーパーの他、授業中の発言・課題作業・話し合い時間などを多く設けて、学生の理解度や考え方を知り、次回説明の参考にすべく試行錯誤です。
というわけで、おしなべて試行錯誤中ですが、学生の反応から学ぶこと励まされることが多く、受講生に心から感謝しております。
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