データベース設計論
渡辺知恵美 (人間文化創成科学研究科研究院基幹部門 自然・応用科学系 講師)
私は情報科学科の5期生で、1994年4月に入学してから2003年3月に博士課程を修了するまで9年間本学で学んでおりました。一度奈良女子大学に出てから2005年に戻ってきてもう3年半経ちます。「データベース設計論」は、私がデータベースを専門にするきっかけとなった講義です。とても思い入れがあるため、母校で自分自身が講義できる事は大変光栄で、また今回学生から高評価を得られたこと大変嬉しく思います。まだまだ未熟で講義では毎回試行錯誤の連続ですが、私なりに工夫している点を書かせていただきたいと思います。
■半年かけてのグループワーク
「データベース設計論」の講義内容は非常に実用的ですので、学生たちには実践を交えて取り組んでもらっています。3名までのグループを組み、要求仕様の策定からデータベースの設計、データ入力、問合せ文の作成と実行、データベースを用いたアプリケーションの実装まで通して実習してもらいます。
初年度はすべての講義が終わってから夏休みの課題としていましたが、今年度は趣向を変え、初回の講義で課題を提示し、講義の進行に合わせて途中経過を提出してもらい、添削をしながら前期いっぱいかけて作成してもらいました。提出される作品は私の予想を越えてはるかに面白く、力作ぞろいで、私自身も大変楽しませてもらっています。
デートコース検索システム(彼氏の職業や年齢に合わせたお店を収録)やアニメやドラマの名言集、ある番組の全台詞を収録したデータベース、ペットショップ、家紋、金魚などなど非常に多様なデータベースが出来上がっています。
また講義中に学生の作っているデータベースの一つを例に出して説明すると、例題のバリエーションも広がり、課題を取り上げられた学生の方でもさらに工夫をしてたりして、お互いに相乗効果があるようです。講義後、アルバイトでデータベースを作ってみたとの報告ももらっていて、実用に生かしてくれていること大変うれしく感じています。
■スライドと講義資料について
講義の進め方で一番試行錯誤しているのがスライドの使い方です。基本的に講義はスライドを使って行っており、それを配布資料として配っています。初めは講義スライドをすべて配布していたのですが、講義の内容を頭に入れるには手で書き写すという作業も重要で、かと言って配布資料を配らないと黒板を写すだけで精一杯になってしまい、講義時間中に理解が追いつかないということもあるようです。結局試行錯誤の末、最近ではできるだけ図を使って直感的に説明するように心がけ、大事な用語と図だけは配布資料から抜いて黒板を書き写してもらうようにしています。
■他の先生方のやり方を参考にさせていただく
学科内の他の先生方と講義の進め方でお互いどうしているかなどを話すことがあるのですが、みなさん様々な工夫をされていて、自分の講義の中でも使えそうなものは取り入れさせてもらっています。例えば、第14回の伊藤先生のエッセイにかかれている10分間の小テストですが、私の講義でも取り入れさせてもらいました。先週の内容を思い出してから今週の内容に繋げられるので、毎回の講義もスムーズになりました。また時々「あの説明はあまり良くなかったなぁ…こう説明すればよかった」などと反省したところをもう一度説明しなおす良いきっかけにもなっています。
■情報科学科OGの一人として
これは講義に関するものではないのですが、学生のときに悩んだことや、学生時分には気がつかなかったことなどを情報科学科のOGとして学生に伝えることも私の役割だと考えています。授業以外で勉強する必要があるか、就職のことを考えてやっておくべき事はあるのか、資格はとっておいた方がいいか、授業の内容は何の役に立つのか、卒業後の人生設計などなど、自分が学生のときに戸惑ったこと、その後自分なりに得た考え、また卒業していった先輩・同級生・後輩の話などを交え、率直な意見を学生に伝えるようにしています。
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