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ワークショップ リポート


第二回「女性のグローバルな活躍のためのワークショップ」(2013年6月5日)報告

講師    佐野 真由子 氏
          国際日本文化研究センター 准教授、
          元?UNESCO本部文化局


 第二回ワークショップの講師、佐野真由子さんは、国際交流基金、ユネスコ(パリ本部)勤務を経て、現在は京都にある国際日本文化研究センターの准教授として、日本文化を海外に橋渡しするとともに、「外から」見た日本文化を考える仕事を長く続けていらっしゃいます。しかし意外にも、最初からこの分野の仕事を目指してきたわけではないそうです。大学時代にたまたま受けた国際関係論の講義の中で、突然「ピピッときた」出会いがあったのが、国際的な仕事に向かうきっかけとなったといいます。それは、講義で先生が、「国際関係の中心にいるのは、個人である」と話されたことでした。国家を中心に論じるのが一般的である国際関係論の中で、その考え方に佐野さんが大きな感銘を受けたことが、静かな語り口からも伝わってきました。

 ユネスコといえば、世界遺産に関わる事業がよく知られています。ユネスコに就職した佐野さんは、無形文化遺産部門に所属し、まさに文化的な財産を守るという仕事につきました。それは、佐野さんが社会人になって、10年後のことでした。大学新卒で最初に就職したのは国際交流基金でしたが、佐野さんはそこで、とにかくこの職場で10年間は頑張って続けよう、しかし10年経ったら一度立ち止まって、自分の将来の道を再びよく考えてみようと、自分自身に約束していました。居心地のよい職場でありながら、その自分との約束を守ることができたのは、機会あって相談したキャリアカウンセラーの言葉、「履歴書は人生の結果の羅列ではなく、自ら作り上げていくもの」に背中を押されたからです。自分の将来の道は、自分で切り開く、という考え方に、本当に感動したそうです。また、イギリスの大学院に一年間留学する機会を与えられ、そこでも印象的な指導教官をはじめ、さまざまな貴重な出会いがありました。社会人10年目を迎える時、一人ギリシャを旅行しながら、かつての自分との約束どおり、自らの来し方行く末を振り返り、出した答えが、ユネスコへの転職でした。それは自分自身が前に進むための決断でもありました。

 

 しかし、これまでの職場環境とは大きく異なるユネスコでの勤務は、戸惑いも不安も大きいものでした。ユネスコ本部は、非正規まで含めるとスタッフが8,000人もいる組織で、日々新しい同僚に出会います。職場にいながらにして、毎日名刺を交換しているような状況です。190ヶ国から来ている上司?同僚に囲まれ、正に多様性に溢れた職場で、刺激的な反面、物事が単純に進まない苦労もありました。そんな中でも、佐野さんはユネスコでの仕事に対する使命感を抱いていました。文化遺産の中でも、職人の技(わざ)、人間国宝といった「無形文化財」の価値を認めるコンセプトの確立については、日本は世界随一の先進国です。そして昨今では、他の国々でも「無形文化財」の考え方が盛んになりつつあります。佐野さんには、その「無形文化財」先進国の出身者という自負をもって文化財保護の仕事にいそしみ、そこから国際関係の接点を見出したいという展望があったのです。

 ユネスコ本部の勤務を通して印象に残った仕事の一つに、ブータン王国を担当した時のことがあります。ブータンは40年ほど前まで事実上鎖国状態で、まるで日本の明治時代のようでした。最近になって近代化が進んでいますが、明治時代に急激に西洋化した日本とは違って、自分たちの伝統を守りながら開国をしていきたいという強い意思をもち、国が熱心にユネスコに働きかけてくる姿に、感動したそうです。

 佐野さんは、ユネスコ退職後、日本で次世代に文化政策の重要性を伝えるべく大学教員となり、現在は研究を通じて日本文化を世界へと発信しています。佐野さんのこれまで培ってきた貴重な経験は、日本のためにしっかりと根をおろしていると言えるでしょう。

 世界に飛び出した日本人女性が見事にグローバルな活躍を成し遂げ、さらにその経験を日本に持ち帰り、いま花咲かせようとしている懸命な姿は、感動をそそります。どうしたら、「グローバルな女性の活躍のためのワークショップ」のタイトルにあるように、グローバルに活躍できるのでしょう。佐野さんによると、「グローバルな活躍というカテゴリーはないと思う」そうです。それは職業や職種で決まるものでなく、とにかく自分の国のことをよく理解すること、そのためには一度国の外に出て見てみることもとても大事であり、それがグローバルな活動につながっていくのだと、講演を締めくくられました。

 講演のあとに続いた質問タイムでは、聴衆の学生たちから国際組織に対する熱心な質問があり、社会が言うところの「内向きな学生」というレッテルはもうそろそろやめてもいいのではないか、と感じさせるほどでした。皆さん真剣に、佐野さんの話に耳を傾けてくれたようです。

 質疑応答が佐野さんの学生時代の話に及ぶと、実はバレエのプロを目指していたこともある、という新しい一面を披露。アクティブでありながら、歌舞伎?文楽といった古典芸能にも造詣が深く、バレエ、オペラ観劇など人生を豊かに楽しんでもいらっしゃる、佐野さんの話はいつまでも私たちを飽きさせることなく、ワークショップは盛況のうちに幕を閉じました。

 閉会後にご記入いただいたアンケートでは、「海外に行くつもりではなかったが、今日の話を聞き、そういう経験もよいのかなと思った」、また逆に、「グローバル人になるとは、必ずしも外国に出るだけでない、身近なところからグローバル人になりたい」というご意見もあり、聴衆の皆さんそれぞれに、今回のワークショップから自分なりの「グローバルな活躍」像をつかんでくださったようです。


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