リポート: 「女性の力をもっと世界に」~ OGとグローバルを語ろう!
海外産業界からのメッセージ
女性の力をもっと世界に
グローバルで活躍するOGと語ろう!
2014年3月3日 実施報告
講師 平野未来氏?
(Spicy Cinnamon Pte. Ltd., CEO)
2006年お茶の水女子大学理学部情報科学科卒
今回、講師としてお招きした平野未来さんは、ベトナムを中心にスマホ向けアプリを開発する会社を起業し、現在も急成長するアジアでご活躍されています。順調にキャリアを積み上げている平野さんですが、ここまで来るまでの道のりは決して平坦ではなかったはずです。これから海外進出したいという人に平野さんからアドバイスをいただきました。
平野さんは、まず日本の将来像を示しました。2050年、日本GDP順位は8位に下がるという予測があります。つまり、37年後の日本は、予想1位の中国の10分の1、2位のアメリカと、3位のインドの6分の1程度のGDP規模になるのです。ただし、女性の社会進出があまり進まないとか、人口があまり増えなかった場合だともっと下がる可能性があります。「いい大学を卒業して、将来安定した職業に就きさえすれば安泰だ」と言われて育った人は多いと思いますし、平野さんもそうでした。しかし、日本の国力が下がっていく中で、グローバル化は止められない、だから今後活躍することというのは、グローバルに活躍できることと同義であると言います。平野さん自身は帰国子女でもなく、留学経験もなくいわゆる「グローバル」な経験がなかったのにもかかわらず、海外で成功しています。 その秘訣を3つのポイントにまとめてお話くださいました。
■ 自分の強みを見つけること ■
私は学生時代、将来、プログラマーになろうと思っていました。けれど優秀な学生仲間と話している中で、私には全然話が理解できず、自分は一番になれないと思いました。突出したタレントになるためには、1万時間の訓練が必要だと言われています。例えば、ビートルズはすごく売れたと思うのですが、もちろん才能もある中で、彼らはイギリスのパブで毎日すごく長くライブ演奏をしていました。それが1万時間を超えた辺りからすごく売れるようになりましたし、マイクロソフトのビル?ゲイツも、マイクロソフトを起業したときには、既に1万時間のプログラミングの訓練が済んでいました。自分の強みはこれだと思うものがあれば、自分は1万時間の訓練をしたのか。まだしていないのであれば、近い将来、それを超えるぐらいそれを好きだと言えるかを、自分に問い掛けてみてほしいと思います。私はプログラマーになる事をあきらめて、違う道に進みましたが、決断し行動を起こす事が早いという強みがありました。「あなたの強みは何ですか」と就職活動ではすごくよく聞かれる質問ですが、これに気付くには本当に時間が掛かると思っています。ただ、常に自分の強みは何なのかを考えておかないと見つけられないので、頭の片隅に常に入れておいてほしいと思っています。
■ 口説く力を身に付けること ■
私が社会に出て一番ショックだったことは、私も含めて一般的に女性には口説く機会がこれまでなく、スキルがほとんどないまま社会に出てしまうという事です。ところが実社会に出ると口説くことばかりです。私は会社を経営しているので、常に物を売るとか、良い人材に入ってもらうだとか、パートナーシップを他の会社と結ぶとか、資金調達をするとか、何事も口説くことが必要になります。この口説くという行為は、恐らく男性だったら、好きな女の子を口説くだとか、サークルでリーダーシップを発揮することで、若いころから既にトレーニングを積んでいると思います。日本の女性の社会進出が、先進国の中でも遅れている理由は、口説く力がないことに起因しているのではないかと思っています。学生のうちから口説く力を身に付けるには、恋愛に対して積極的になるのがいいのではないかと思っています。
■ どこの国で戦うのかを決めること ■
私は早々とプログラマーになることを諦めたのですが、正直、早く諦めて良かったと思っています。なぜかというと、当時は気付いていませんでしたが、途上国の存在は非常に大きいのです。例えば、ベトナムでシステム会社をやっているのですが、ベトナムのプログラマーは月収1~10万円で、とても経験のある人でも10万円で雇えます。日本人のプログラマーの10分の1のコストです。日本人のプログラマーを雇おうとしたら、月50万円掛かるところが、ベトナム人だと5万円で済んでしまい、45万円の差があります。それだけの価値を自分で作れるのかというと、すごく難しいことだと思います。2013~2050年に躍進する国は、中国、インド、ブラジル、メキシコ、ロシア、インドネシアです。基本的にこういった国々に行くことをお勧めしているのですが、他にも実は自分に合う国、合わない国があります。実際に行くと、自分が歓待されているのかどうかが分かります。例えば私の場合、ベトナムとインドの2カ国はすごくウエルカムされていると感じたのですが、逆に中国やロシアは歓待される感じがなく、拒絶されているように感じました。これは実際に行ってみなければ分からないので、皆さんにはぜひ行って判断してもらいたいと思っています。社会人になるとどうしてもあまり時間が取れないので、学生のうちに、なるべくツアーを使わず全て自分で組んで、なるべく現地の人と友だちになるような旅行をしてほしいと思っています。少なくとも10カ国、できれば20カ国、30カ国ぐらい行くと判断できるようになるのではないかと思います。そうすることできっと将来、自分の行くべき国が見つかるのではないかと考えています。
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お茶の水女子大学
グローバル人材育成推進センター