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2010年12月28日更新
2010年12月21日から23日まで、韓国の梨花女子大学校において、韓国梨花女子大学校と日本女子大学および本学の3大学の理系大学院学生の交流を目的とした「日韓3女子大学交流合同シンポジウム」が開催されました。本学からは、文部科学省特別経費「女性リーダーを創出する国際拠点の形成」事業の支援を受けて、24名の大学院学生と4名の教員が参加しました。
シンポジウムでは、各大学から参加した学生が、研究内容や研究成果について英語でプレゼンテーションを行いました。
本学から世話人として参加した生物学科由良教授に今回のシンポジウムの様子について報告してもらいました。また、参加した学生の方からは感想を寄せてもらいました。
由良 敬(ゆらけい) お茶の水女子大学 大学院人間文化創成科学研究科
研究院 先端融合部門 先端融合系 教授
生命情報学教育研究センター センター長
(理学部生物学科)
理系大学院生の英語による研究発表能力の鍛錬、海外での研究会参加の訓練、および日韓女子大学の友好関係構築を目的として、2010年12月21日~23日の3日間、日本女子大学大学院理系学生、本学大学院理系学生、および両学教員の総勢36名で韓国梨花女子大学校を訪れ、第1回日韓3女子大学交流合同シンポジウムを開催した。派遣団の中で梨花女子大の訪問経験があったのは教員2名のみでありながら、日本出発から梨花女子大の正門到着までは何の問題もなく順調にことが運んだ。しかし、宿舎へのチェックイン、昼食、そしてシンポジウム開始までは、言葉が通じない、キャンパス内の急勾配にヘトヘト、そして想定外の事態発生などでいろいろとてこずることになった。手弁当で開催することになったシンポジウムだけに、教員側はある程度の覚悟はしていたが、参加学生にとっては第一の試練だった様子である。
しかし、シンポジウムが始まると多くのことはスムーズに展開し、梨花女子大側の準備のご努力には敬服した。初日は梨花女子大学校の紹介、2日目は化学生物系と情報数学物理系のふたつに分かれての口頭発表会、3日目はポスターセッションと学内ツアーであった。梨花女子大学校の宣伝ビデオを見せていただいたセッションではハリウッドの映画なみのビデオ映像に圧倒され、梨花女子大の学生による口頭発表では彼女らの発表技術と英語のレベルに圧倒され、学内紹介ツアーでは梨花女子大の実験設備と大学生活支援設備の抜群のよさに圧倒された。こういう状況を見せつけられると、我が国の大学教育と大学設備に対する投資の矮小さに悲しみすら感じる次第であった。
とはいえ、日本女子大学及び本学の学生諸君は、秋から行っていた発表練習の甲斐もあり、自身の研究内容を梨花女子大の学生に負けることなくうまく発表できていた。このような機会があったからこそ、自分の研究を異分野の方々にも英語でわかりやすく説明することを真剣に考え、その成果が発揮されたのだと思う。学生諸君を韓国まで引率した意義は十分にあったと感じている。学生諸君にとっては、ソウルでの見聞と梨花女子大生との交流が、彼の地の歴史、活気、そして潜在力を肌で感じるよい機会になったことは間違いなく、自身の現在と未来を考えるよい材料になってくれたと思う。
● 本シンポジウム参加に向けて受講した授業を通して、他分野を専攻する人の前で、英語で自らの研究内容を話す機会を得られたことは、私にとって大変よい経験となりました。いかに簡潔かつ誤解のない表現をするかということを特に考える必要があったように思います。また、他学科の人でもイメージしやすい図式を作成したり、導入部分に視覚的にわかりやすい結果を挿入したりと、普段の学会とは違った視点で発表用資料の作成にあたる過程で、自らの研究内容を見つめ直す機会ともなりました。聴いている人の興味?関心を引き出すということに関しては、本シンポジウムの段階では未熟なところが多々あったと感じていますが、達成できなかった部分については今後の課題と捉え、改善していきたいと考えています。また、梨花女子大学での研究室ツアーや口頭発表の場において、同年代の学生の姿に刺激を受けました。研究会や学会等において、女性の研究者の数は圧倒的に少ないため、本シンポジウムのように同じフィールドにいる同性の学生が集まる機会は貴重です。
● 梨花女子大学の学生や教員の意識やレベルの高さと施設の素晴らしさを肌で感じました。口頭発表でもポスター発表でも梨花女子大の学生は皆さんとても英語が堪能で驚くばかりでした。ポスター発表のときに梨花女子大の学生さんに学年を聞くと、学部の3年生や4年生でした。短期間に素晴らしい研究をし、それを流暢な英語で発表しており、私たちも頑張らなければいけないと刺激を受けました。私も負けてはいられません。また施設や設備がとてもきれいでさすが私立大学だと思いました。お茶の水女子大学にも梨花女子大学のような素晴らしい施設があればいいのにと感じました。
今回のシンポジウムを通して英語での発表ができるようになりましたが、韓国の学生のレベルの高さに刺激を受け、今後研究に語学にもっと力を入れようと思いました。自分の意識を高く保ち、社会を背負っていける女性になりたいと強く思いました。また、もし可能であれば梨花女子大に留学してもっともっと刺激をもらいたいと感じました。井戸の中の蛙では自分のモチベーションも下がってしまうので、これを機にもっともっと色々なことに挑戦したいと感じました。
● 英語での口頭発表にどのように取り組んでいけばよいのか分からなかったので、週に1回講義を設けて頂けたのは本当によかったです。2ヶ月半の週1回の演習授業でしたが、発表の練習というだけではなく一緒に参加するメンバーの発表やバックグラウンドを知ることが出来たのもよかったです。練習を通して感じたことは、自分の英語能力の低さと他分野の研究内容を理解することの難しさでした。また同じ分野でも専門性が高まる程、その内容の理解は難しかったです。そこで、どの分野の人が聞いても何についての研究なのか、どういうことを行ったのか、そしてその研究から何が見えてきたのかがわかる発表をしようと心がけました。発表で使用するスライドでは極力文章を避け、図を豊富にし、原稿も自分の英語能力に見合う簡単な英語を使用しました。今回、英語での口頭発表を経験したことで、12分間という短い時間にどれだけ準備が必要かということ、その準備が充分になることはないということ、そしてその準備をきっちりと発表のなかで示すことの難しさを思い知りました。