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橋本ゆかりさんが第1回第二言語習得研究会佐々木嘉則賞を受賞

2012年12月18日更新

大学院人間文化研究科国際日本学専攻修了生の橋本ゆかりさん(平成20年修了?横浜国立大学教育人間科学部/同大学大学院教育学研究科 専任講師)が第1回第二言語習得研究会佐々木嘉則賞を受賞しました。2012年12月15日、16日に明海大学にて開催された第23回第二言語習得研究会全国大会において表彰されました。

受賞した論文は以下のとおりです。
「日本語を第二言語とする英語?仏語母語幼児の否定形の習得プロセス−スキーマ生成に基づく言語構造の発達−」『第二言語としての日本語の習得研究』14号、2011年、pp60-79. 
 
受賞理由
本論文は、日本語を第二言語(L2)とする幼児3名を対象に5年間にわたって行われたフィールドワークから得られたデータに基づき、ピボット?スキーマ(認知言語学?用法基盤モデル Usage-based model の習得段階)を膠着語である日本語の否定形の習得に援用し、スキーマ更新による文法習得プロセスの一端を示したものである。さらに、日本語を第一言語(L1)とする幼児との比較によりL2幼児独自の特徴を明らかにしている。対象者こそ3名と少ないが「見かけ上の時間(apparent time)」ではなく、「実際の時間(real time)」に基づいて5年間縦断的なデータを収集し、かつ、L2幼児に関する明確な特徴を丁寧に炙りだした点で、質的研究の模範となりうる論考である。論文中でも指摘されているが、結論の一般化には慎重になる必要があるものの、一つひとつの発話の詳細な分析と、著者自身がフィールドに入り込むことによる、発話状況や発話意図をふまえた丁寧な考察は、斬新で意欲的であり高い説得力を持つ。今後のSLA研究、日本語教育?学習への寄与度も高く、今後は、本論文で提示された仮説の検証が期待される。
よって、本論文を第1回佐々木嘉則賞受賞論文として選考する。