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生活世界の安全保障 3 リスクの社会史 |
クラス
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全学科 |
履修年次 |
1〜4年 |
授業形態 |
講義 |
単位数 |
2.0 |
学期 |
後期 |
曜日 |
月曜 |
時限 |
3.0〜4.0 |
教室 |
共通講義棟1号館
301室 |
読替 |
社会史
(基礎講義科目) |
H偶数年度開講 |
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安成准教授 |
三浦教授 |
新井教授 |
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神田准教授(左)と古瀬教授(右) |
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LAとしてのリスクの社会史 |
この講義は、イギリス中世史・フランス近世史・日本古代史・日本中世史・日本近世史・イスラム史、計6名の教員が担当する連続講義ですが、単なるオムニバス講義にならないように努めています。テーマは、ヨーロッパ中世を襲った黒死病への対処と影響・フランス革命の進展とうわさのコミュニケーション・遣唐使とそのリスク・日本中世の合戦としたたかに生きる民衆・日本近世の地域社会と治安の安全装置〜「粋方(すいほう)」と呼ばれる侠客親分・マムルーク朝末期の都市社会におけるズルム(不正)と相対的正義、など一見さまざまです。しかしながら、歴史のなかで人々はリスクにどう対応してきたのかという問題を考えることで、現代に生きる私たちを見つめ直したいという点で、6人による講義は共通した問題意識を持っています。この講義の前身は、2年前から特別教育研究経費事業「コミュニケーションシステムの開発によるリスク社会への対応」の教育プロジェクトとして、試行的に行ってきた講義や共同研究でした。講義をする教員同士で共通テーマに関するお互いの理解を深めてきたことが、リスクの社会史として連続講義を開講する上で必要不可欠の作業であったと思います。
とはいえ、一見バラバラに見える講義テーマを通して、講義を聴いているみなさんが自分なりの理解や考えを持ってもらうのは、そのままでは困難だと思います。そこで、講義の最終日に、6名の教員が参加してのミニシンポジウムを行いました。そこでは、「リスクにどう対応し、そこから何が引き出せるか」という点に絞り込んで、教員側がまず短くコメントしました。そこから出た論点を学生さんに投げかけて議論に参加してもらい、あるいは学生さんからの問いかけに教員全員が答えるなど、双方向のやりとりを心がけました。このミニシンポジウムを通じて、学生さんに「リスクの歴史を学ぶ意義は何なのか」を、自分自身への問いとして考えてもらい、自分なりの答えを見つけてもらいたかったからです。 |
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学生の意見 |
最後に、シンポジウム終了後にとったアンケートから学生さんの意見をいくつか紹介したいと思います。「みんなの意見を聞けてより深い理解に近づけた。リスクはなくさなければならないものでは必ずしもない。今までと違った視点が得られた」「それぞれの授業ではいまいち実態をつかめなかった「リスク」という存在が今日のシンポジウムでおぼろげだが姿を現したような気がした」「授業を通して感じたのは、リスクから身を守るのは自分だということ、柔軟に判断基準を変えながら環境に適応することが大切ということ」「他の科目との関係について話をしてくださったことで、自分なりの「視点」を決めること(持つこと)が重要だと気づいた」「リレー形式の授業で最後にシンポジウムを設ける授業は初めてだった。各授業で得た知識・考えを横断的に考察する機会を持つことの意義を痛切に感じた」などでした。 |
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報告:新井由紀夫准教授 写真:教育企画チーム 千葉久雄 |
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