生命と環境 7 大気と水:
長谷川 直子 [文教育学部 人文科学科 地理学] |
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LA科目を担当して |
私は自然科学に根ざした研究をしていますが文教育学部に所属していて、普段は文系の学生さんとの交流が主です。が、LAのような全学科目では他学部の理系の学生さんと交流することが出来るので、とても楽しいです。そこから新しい出会いがあったりします。
また、この授業では大気と水に関係する環境問題を取り上げているのですが、環境問題というと理系の学問だ、といった考えをしている学生さんとよく出会います。文系と理系両方の知識と理解がなければ環境問題は理解できないのだということをこの授業では伝えたいと思っています。それだけではない、一つの物事にはいろいろな側面があり、またいろいろなこととつながっている。ある現象を理解するためには膨大な知識と自分の中での考察が必要であるということを本人が納得する形で理解して欲しいですね。
だからこの授業では、ある環境問題を取り上げて、それに対する相反する意見を提示する。ゲストスピーカーの方も相反する立場の方をお呼びして、講演していただく。学生はそれに基づいて考えて、毎回レポートを出します。違う意見を聞くたびに、その意見に同調して意見が毎回変わる学生さんが多いですが、そのように自分の意見がはっきりもてていないということを自分で認識するだけでも大きな収穫だと思っています。 |
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学生の皆さんへ |
いわゆる一般教養といわれる科目を担当するのは初めてなのですが、せっかく一般教養なので、この授業の「大気と水」という枠にとどまらず、なぜ勉強するのか、なぜ考える必要があるのかといったことも含めて授業で伝えたいと思っています。
特に私はこの大学の卒業生なので、十数年先を生きてきた先輩として、自分の過去への反省に基づき、「この4年間を無駄にせず、充実した学生生活を送って欲しい」というメッセージもあります。 学生のコメントをみると、授業の内容そのものよりも、そのようなメッセージから得るところが大きいようにも思えます。大学生活に対する「意義」さえ自分の中ではっきりしていれば、それはこの授業にとどまらずすべての授業や学生生活に影響を与えますからね。
そしてこの授業で扱う様々なものの見方を熟考することで、自らの「環境観」を構築していく。それが自分の人生観にもつながるということです。「生き方や考え方が変わった」という学生さんからのコメントを読むのは、私にとっては一番うれしい瞬間ですね。お茶大生はまじめで素直なので、やりがいがあります。 |
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コメント:長谷川直子准教授 |
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授業(潜入ルポ?!) |
この日は最後の授業ということで総括の講義が行われました。対立する二つの論を徹底比較し、論理の盲点を探し、そのために必要な知識を自ら得て考える。といった手法を地道に繰り返しながらいくつかの例を見てきたということで、配布資料における学生のレポート抜粋を読むと、初回からここまでで学生のものの見方が変化していく、自分自身の意見にたどりつく過程が分かり、他の授業も聴講し、自らも考えてみたい、と思った授業でした。 |
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取材(文・写真):教育企画チーム 野口香織 |