ジェンダー 4 アートとジェンダー:天野 知香 [文教育学部 人文科学科 哲学] |
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LA科目を担当して |
この科目では、いわゆる美術作品を取り上げています。大衆文化と共通する、視覚イメージの社会や制度との関わりを歴史的に深く掘り下げて考えるためですが、一年生の履修者も多いこの授業では、美術の制度や歴史など、理解のための背景も含めてゆっくりとお話をすすめてゆくようにしました。 また、コア科目の芸術IIから移行した科目で、新たに「ジェンダー」という切り口でどうお話していくかというところは手探りなのですが、「ジェンダー」の視点は、視覚イメージと深く結びついている現代社会のあらゆる問題を考察する手段となり得るため、多くの学生が受講してくれて嬉しく思っています。 |
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学生の皆さんへ |
芸術は美しいものであり、感動するためのものというこれまでの通念に縛られず、芸術のあり方や概念は社会がつくるものであり、視覚イメージは社会の考え方を伝える情報メディアでもあるということ。それは、自覚的に捉え直し、見て感じる対象でもあること、またそういった社会的なあり方を意識し、作品と対話し、考えた上で芸術をどう見るかということを決めるのは自分自身の判断であるということも学んでほしいと思っています。それに、美術の歴史では制度上、女性芸術家の活躍の幅はそう広くなかったのですが、鑑賞する側にアートにおける女性の体験を受けとめる土壌ができるといいですね。 |
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授業(潜入ルポ?!) |
この日はモダニズムの美術史観を読み解く、近代アートを取り挙げた授業でした。芸術に対して「問い」を発する芸術という概念をベースに、フェミニズムアートが台頭した1970年代以降の社会状況や美術史観について、たくさんのスライド写真を見ながら、読み解いていくものでした。
これまで無意識に感受していた、芸術作品に表象されたジェンダー観を、今回の授業で気づかされ、ジェンダー問題が私たちの日常にあまりにも自然に潜んでいることに驚きました。また、フェミニズムアートの作品を初めて鑑賞し、作品にこめられたメッセージの解説を聞いてみて、自分も女性として、社会にどう問いを発していくかについて考えさせらました。
アートとジェンダーの関係性という、これまであまり触れることのなかった視点の面白味を知り、世界が拡がった授業体験でした。 |
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取材:教育企画チーム) |