ジェンダー 24 テクノロジーとジェンダー(演習):
高橋 さきの [生活科学部・ジェンダー研究センター] |
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LA科目を担当して |
今回お茶大で初めて講義をするのですが、演習授業ということで、ある程度ジェンダー系の知識を持っている学生(3〜4年生)向けの内容を想定していました。しかし、LA科目は1年生に対して「演習」を実施するということで、今回のシラバスの内容は1年生には難しかったのではないかと思います。ですので、授業についても用意していた題材や構成を、学生の反応を見ながら変えていきました。
この演習科目では、テクノロジー(科学技術)が関わる様々な「現場」に、映像、オーラルヒストリー(関係者から直接話を聞き取り記録としてまとめたもの。近年、注目されている歴史研究法)等を手がかりとして、なるべくダイレクトに触れ、そこから「性差概念の変容」について考察してほしいと思っています。また、授業では、文献を読み解くスキルを身につけ、プレゼンテーションでは、聴き手が読んでみたくなるような発表を心がけてもらいました。皆、著者や翻訳者の想いを的確に捉えることができており、これから人生経験を積めば、益々、伸びていく力を感じられました。 |
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学生の皆さんへ |
現代社会が直面する状況は、その歴史的背景を知らなければ表層的理解におさまってしまいます。テクノロジーは社会状況と密接に関係しており、そこに着目することで見えてくるジェンダーの社会関係は、特にこれから教員になる方にとっては、知っておいてほしい内容です。
理系、文系にかかわらず、いろんな学生にうけてほしいですね。 |
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授業(潜入ルポ?!) |
授業は、今日の雑談(社会現象をグラフから読み解く練習)→学生による発表→評価→今日の授業の題材→問題提起→テクノロジーとジェンダーに関する「現場」を写真・グラフ資料から考察する、という流れで行われていました。
ジェンダー学の知識がほとんどない私が、身近に感じたのがジェンダーマーケティングの一例でした。先生が試したところ、あるSNSのターゲッティング広告はプロフィールの性別を換えるだけで、広告内容がガラリと変わるというのです。これも、現代社会のテクノロジーから見えるジェンダー問題の一例とのこと。知らないうちに、ステレオタイプな性差概念に浸かっていることを考えさせられました。身の周りの出来事に問題意識を持つきっかけを与え、リベラル(自在に)考える力を育める授業でした。
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取材(文・写真):教育企画チーム 首藤三和 |