ジェンダー 3 映画とセクシュアリティ:竹村 和子 [文教育学部 言語文化学科] |
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LA科目を担当して |
あるテーマに沿っていくつかの科目を組み立てて学生に提供するという発想は、本学ではコアクラスターが最初でした。初めに出発した二つのうちの一つがジェンダー系で、LAが新たに作られたので、こちらに移りました。だから科目のリソースは、比較的整っていたといえるでしょう。
加えてジェンダー研究自体が、すでに女性学、フェミニズム研究として制度化されてきた歴史を持っています。じつは日本は、この点ではまだまだ後発国なのですよ。けれども、世界的には学問分野として確立されているので、系列を組み立てるときのプリンシプルは立てやすかったと思います。むしろ拡大し増殖しているトピックをカテゴリー化するのに腐心しました。その結果、「政治・経済」「文化・表象」「テクノロジー」「グローバル化/ローカル性」の4つにまとめました。今後、さらに面白い展開になると良いですね。
日本社会のなかにジェンダーの視点がどのくらい浸透しているか、というと、まだまだ道遠し、ですね。お茶の水女子大学は、女性の高等教育を担ってきた歴史から、国内外、とくに海外から、ジェンダー研究/教育の中心であることが求められています。それは教師だけ、というのではなく、学生たちも積極的に国内外に発信していってほしいと思います。
この授業については、少人数でディスカッション形式でやるつもりでしたが、やはり今、映像の喚起力とセクシュアリティへの関心は高いということがわかりました。伝えたいことがたくさんあります。
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学生の皆さんへ |
大学の4年間を終えて卒業したのちの礎となる知識、考える力を身につけてほしいと思っています。
社会人となった時に、社会やプライベートで何か問題が起こった時、「あなた一人ではない」ことを思い出してください。人間は自分一人だけが苦しいと思いがちで、そう思ってしまうと、そこから抜け出すのは大変難しいことです。そんな時、「あなた一人ではない」ことを思い出し、自分で築いた礎を基に、人生を歩む力にしてほしいと思います。
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授業(潜入ルポ?!) |
授業はプレゼンテーション方式で、板書がメインです。テーマに沿った映画の紹介とその一部の鑑賞、各映画の時代、政治、民族などの背景の解説が、矢継ぎ早に展開される、スピード感のある授業です。
私たちが生まれて生きている「現代」。私たちは昨日までのことが今日明日と同じように続いていくと考えがちですが、実際はそうではない。授業そのものはジェンダー学を基礎としたものですが、それだけでも習慣や常識、そういった概念はたえず生き物のように変化し、この100年ほどはその変化のスピードはかつてないほど早いのだということが、実感できる講義で、自らに対し、柔軟な思考の重要さを改めて示してくれる授業でした。
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取材(文/写真):教育企画チーム :野口香織 |